その218 経験者は語る・停電対策グッズ

 近年、災害対策グッズのなかでも人気なのが「ポータブル電源」だそうです。電源といっても正確には蓄電器・大容量のバッテリーのことですが。

 バッテリーというと携帯電話用のモバイルバッテリーを思い浮かべますが、あれのもっともっと大規模なものです。モバイル機器の充電や照明はもちろん、コンセント自体がつながってテレビや電子レンジくらいなら短時間動かすことが可能なすぐれもの。

 また、なかには太陽発電パネルと接続して緊急時でも電気を作り蓄えることができる(電源から充電するより時間はかかりますが…)モデルも一般的になってきました。災害時だけでなくキャンプやアウトドア、ちょっとした庭でのDIY作業、バーベキューなどにも利用できると人気が高まっているそうです。

 容量によって値段は違いますが、大雑把にいってざっと10万円ほどから。けっこうなお値段です。にもかかわらず大人気だというのですから、防災意識の高まりを感じます。

 筆者もちょっと欲しいかなと思っておりますが、なかなか勇気のいるお値段ですねえ…w。

 そう、電気といえば去年の11月9日。四国で大規模停電がありましたね!

 それも時間が夜の8時過ぎから。一時間以上にわたってなんと36万戸以上の大停電でした。近年なかなか聞かないニュースで大変驚きです。

 停電も家の中だけなら「仕事ができない」「冷蔵庫が止まって困る」くらいのことで済むでしょうけど。街の照明や信号機までも停まった、しかも一時間以上となると交通事故やそれに伴う二次被害も心配になってきます。実際、駅舎や空港の誘導灯まで停まったそうで大事故が起きずに済んで本当に良かったですよね。停電中では救急、火事も怖いし通信網も不安ですし。
 あまり大きなニュースにはならなかった印象ですが、一歩間違えたら怖いなあ…と思いました。

 さて、筆者には四国に住んでいる友人が一人おります。

 その彼が停電のあった当日、それも電気の復旧して間もなくの夜10時前にさっそく筆者にメールをくれました。その内容が

「ヘッドライト、買っておきな!」

というものでした。

 1時間以上の停電中、最も役に立ったのがヘッドライトだったそうです。

 友人曰く。
①ヘッドライトは両手が空く。暗い中で懐中電灯だと片手が使えない。
②ヘッドライトはなくさない。手に持った照明は手を使いたいときそばに置くが、それが倒れたり転がったりとなくなる危険がある。
③ヘッドライトは顔が向いた方を自然に照らしてくれるので非常にラク。手に持った照明はわざわざ見たい方に向けなければならない。モノを持ったりどかしたりするときはその動作ができない。せっかく持った懐中電灯があさっての方を照らし続けることになる。

 …だ、そうです。 

 メールには「買って見えるところに置いて。使い方も練習しといた方がいい」と追記してありました。

 当方はこのメールを見て、そのまま手に持ったスマホですぐヘッドライトを注文いたしました。ネット注文はこういうとき便利ですねw熱が冷めないうちに買えるのは…。

 実はヘッドライト、介護施設でも話題に上がったことがあるのです。防災についての研修中の話です。

 介護施設にももちろん非常用の物資や懐中電灯は常備してあります。が、たとえば夜に地震や停電があったとして、まずその「懐中電灯を暗い中で手探りで見つけられるか」が問題です。
 保管方法がいいかげんだと地震で転がってもとの場所にない危険もありますね。

 なので懐中電灯は壁に固定するなどの工夫が各施設でなされております。夜勤時はペンライトを持ち歩いている用心深い職員さんもあります。

 しかし懐中電灯が見つかってたとして、「片手で十分な支援や救助活動ができるか」は大いに疑問です。両手が空いていても難しいお仕事ですから正直言ってムリでしょうね(^^;)。
 以上の理由から研修ではヘッドライトの導入も意見に上がっていたのをよく覚えております。

 たったいま停電を経験した友人からのメールで、ああ、ヘッドライトは大げさじゃなかったんだなあとつくづく実感いたしました次第です。
 「経験者」のオススメなら間違いないでしょう。

 さいわいヘッドライトは2000円ほどですぐ買えまして、ポータブル電源のような勇気は要りませんでした(笑)。
 時間のあるとき装着して使用感を確かめている今日この頃です。