その162 便利なモノにも「慣れ」は要る

便利なモノにも「慣れ」は要る

以前の記事で、高齢者の生活の足として電動アシスト付き三輪車が流行している…と書きました。この記事です。

その148「生活の足 今昔」

今回は実際に「電動アシスト付き三輪車」に乗ってみた感想をお届けしたいと思います。

私事でスミマセンが、自動車を持たない我が家にはこの電動アシスト付き三輪車はとても魅力で、購入を真剣に検討していました。大きな荷物、かさばる日用品(お米やトイレットペーパー、大きなペットボトルなど)の買い物にいいなあと思いまして…。免許が要らない、家人も乗れる、ランニングコストがほとんどかからない等も魅力でした。

さて実際に自転車屋さんに行ってみますと。

よほどの専門店でない限り、店頭にはおいていないようですね。現在は取り寄せでの注文が一般的なようです。お値段もそれなりにしますので、プロの自転車屋さんに詳しくお聞きしながら慎重に機種を選びました。

電動アシスト付き三輪車は実際大変に人気で、また折からの世界的な流通の混乱も手伝い、メーカーも在庫が足りない状況のようです。

我が家の場合、注文して一週間ほどで届きました。

さていよいよ乗ってみた感想ですが、声を大にして言いたいことがあるのです。

「必ず、安全な場所で練習しましょう!」

…こういうと「三輪車くらい、乗れますよ」と言われそうですが(-_-;)安全な場所で練習せよとは製品の説明書にもしつこいほど書いてありました。ここは読み飛ばさない方が身のためです…。

確かに三輪車は安定していて、転ぶことはめったにありません。が、やはり二輪の自転車とは別物、挙動がまったく違います。
恥ずかしながら筆者もはじめ大変戸惑い、転びはしないまでも何度かヒヤっと致しました。

何がそう違うかというと、まずカーブです。

普通の自転車に慣れ切った体では曲がるときには進行方向に体を傾けるだけですが、三輪車というのはそれでは曲がらないのですね。しっかりと「ハンドルを切って」曲がる必要があります。自転車のハンドルを意識的に切るというのは、むしろ初めての経験かと思います。慣れないうちはスピードをかなり緩め、落ち着いて操作したいところです。

次に気になるところは、地面の傾きと凹凸。

後輪が2輪ありますので、地面の傾きに敏感に反応してしまいます。例えば地面が少し、気づかないほど右に傾いていると、まっすぐ走っているつもりでも知らず知らず右に車体が流されていきます。これも微妙に調節しながら走る必要がありました。

凹凸は、特に歩道に乗り上げるとき。あまり斜めに入ると前輪は無事通っても後輪が跳ね上げられてしまいます。段差にはスピードを緩め、なるべく垂直に侵入しないと危険でした。これは2輪でも同じことですが、3輪のほうがより凹凸に敏感で慎重さが必要です。

便利なモノでも、結局使うのは人間。「慣れ」はどうしても必要ですね。

これは三輪車に限らず、車イスやシルバーカーなどにも言えることでしょう。よくシルバーカーを押しながら、歩道や踏切で苦戦しているお年寄りを見かけませんでしょうか?また、車イス後部のティッピングレバーも、街中で使われているのをあまり見かけません。(ティッピングレバーとは車イスの前輪を浮かせるために踏み込む棒のことで、車イスを押す人の足の近くに地味についております。)
やはり正しい使い方を教わること、実際に慣れることが大事ですね。

しかしこういったものは自分が健康な時にはご縁がないもの。なかなか慣れるといっても機会がなければ難しそうです。その点、電動アシスト付き三輪車はいわゆる「介護用品」ではありませんので、使ってみたい方には「運動神経が鈍らないうちに試して、慣れた方がいい」と僭越ながらオススメしておきます。

…ではそれらの注意点を押さえたうえで、電動アシスト付き三輪車に慣れて来ますと…。

これは、恐るべき便利さ(笑)でした。

凹凸の多い歩道を避け、カーブは慎重に。これさえ押さえておけばあとは荷物の積載量といいアシストによる上り坂の楽さといい、全く手放せない性能です。個人的には坐骨神経痛もまだ治療中ですので、上り坂で踏ん張らずに済むのは非常にありがたいですね…。

品薄になるのも、分かる気が致しました。