その197 「今すぐ逃げて!」は大げさか?
3月というと、どうしても災害のお話が多くなりますね。言うまでもなく13年前、東日本大震災のあった3月11日に由来しています。
今年は元日に「令和6年能登半島地震」が起きてしまい、改めて災害に対する意識が高まっているように感じます。
本社のある東京、また筆者の住む神奈川では具体的に被害はありませんでしたが、テレビから流れるアナウンサーさんの「今すぐ逃げること!」「テレビは見なくてもいいです、今すぐ避難!」「東日本大震災を思い出してください!」の声には緊張が走りました。地震の後は津波、東日本大震災の経験からほとんど日本中の人たちが津波を危惧していたと思います。
あのアナウンスには一部から批判の声もあったようです。「なんだあの絶叫は」「脅かしが過ぎる」というのです。それに対しNHKはSNS「X」であえて強い語調で呼びかけた理由を投稿しました。
ところが、ほとんどの方々はあのアナウンスは適正であったと感じたようで、かえって多くの肯定的コメントが寄せられました。筆者も適正だと思いました。
(というより件のアナウンスは一部の人が言うような「絶叫」とは感じられず、むしろ感情は抑えた語調で強く伝わるよう喋っているな、声のプロってすごいな…と感じました。)
地震・津波、高台へ避難!これはもう、どんなに大きな声で言っても脅しとも大げさとも思わない…「東日本大震災を見た人」はほとんどがそういう感覚なのではないかと思います。
むろん、テレビの報道に対する意見・批判は自由なのですが、あのアナウンスに「大げさだ」というのはちょっと危機感が薄れてるんじゃないかな…と筆者は思いました。(東日本大震災をよく覚えていない、若い方なのかもしれませんが…)
このアナウンスの件もそうですが、今回の地震では、13年前の記憶がいい面にでたなと思われることがたくさんありました。
SNSは当日から「デマに注意して!」が流れ、被災地のメッセージでも真偽が分からないものは安易に拡散しない姿勢が見られました。
代わりに災害時無料で誰でも使えるWi-Fiサービス(00000JAPAN)の情報、災害伝言ダイヤルの使い方などが大いに拡散されました。
またいわゆる「インプレッション稼ぎ」と言われるポスト(被災者でもない人、関係ない外国のアカウントなどによる偽情報)は多くが運営に通報されたようです。災害時におけるネットデマ情報の取り締まりについても、総務省「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」などで議論が始まりました。
またメディアの過度な自粛、番組が地震情報一辺倒になったり、CMが公共広告機構だけになったり…は今回ありませんでした。被災地以外は、日常の経済活動をしっかり継続するのが大事という学びからですね。
あるいは子供たちによる「地震ごっこ」という話題も流れました。感情をうまく処理できない子供は、地震に対する恐れ不安を「ごっこ遊び」で表現し、処理しようとする…だから不謹慎だと頭ごなしに叱らないでという内容でした。こういう症状は平時なかなか話題になりませんが、言われてみればわかる気もします。貴重な情報ですね。
ちなみにNHKのサイトには「地震報道に接した子供の主な症状」として
1,赤ちゃん返り
2,罪悪感を抱く
3,からだの症状(頭痛・腹痛など)
4、ごっこ遊び
があがっております。
(参考)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240105/k10014310761000.html
どうも罪悪感とからだの症状に関しては、大人でも同じだなあと感じますね。過度に災害情報に触れると、なんだか申し訳ないような、体調まで悪くなるような…。
災害を常に忘れず、被害がなかったなら冷静に情報を注視し、同時に疲れすぎないように…本当にムズカシイことですが。3月を機会に、改めて心したいと思いました。