その142 困ったら地域包括、はまだ…

先日、ツイッターに投稿されたある介護に関するツイートが注目を浴びました。8000件以上の「いいね」7000件以上のリツイートだそうです。
…残念ながら、いいニュースではありませんで…。

内容はひとことで言って、

「介護施設の利用料が、今年の夏からいきなり上がって、5割増しになった。大変だ!」

…というものでした。ツイートされた方は、ご自身に届いた特別養護老人ホーム利用料の8月分、9月分の明細を写真に撮ってアップされていました。見れば8月の請求額は9万円ほどであったのが、9月には14万円以上にハネ上がっています。…これは、お怒りになるお気持ちもヒジョーによくわかる…としか、言いようがありません(-_-;)。

原因は今年(令和3年)8月に実施された、「介護保険負担限度額」の改定によるもの。詳しくは役所やケアマネさんに確認していただきたいですが、ごく簡単に言って「介護保険を利用していて所得の多い方、預貯金の多い方は、負担額を多めに払ってもらう」ように変更がありました。
所得額、預貯金の額はそれぞれ段階的に決まりがあるのですが、ツイートされた方はもっとも負担の大きい段階に分類されたのでしょう。

リプライの反響もすごくて、その内容は「高すぎる」「気の毒だ」という同情的なもの、「政治が悪い」等のそもそも論。「儲かるのは施設だけだ!」というお怒り…これはちゃんと否定しておきたいのですが、この改定によって施設が儲かることも、職員の給料が上がることもありません(-_-;)(それどころか急に上がった利用料の説明に追われている施設も多いとか)…また介護保険に詳しい人からは「返還があるかも」「認定の異議申し立てを…」なる、具体的なアドバイスも書きこまれていました。

筆者は滝のように流れるそのリプライ欄を読みながら、「地域包括に相談」という文言が出てこないことを、残念に思いました(._.)。


(大事なことですので、再掲です!)

ツイートされた方は、急な改定(改悪、と仰ってましたが)に怒り、世に訴えたかったのだと思います。ですがツイッターで世間に訴える心情の裏には、どうせ施設も役所も助けてくれないというあきらめもあるように感じられました。
(実際、ツイートされた時点では役所やケアマネさんに質問や相談はしていなかったようです)

例えば医療・介護保険の自己負担が高額になりすぎた場合、一定金額を基準にして「払い戻し」ができる制度もあるのですが(高額介護合算療養費制度)…。
現実にはあまり専門的なことまで介護者が調べるのは確かにムズカシイと思います。

ただ何度も言うようですが介護の問題には「地域包括」という、無料で相談に乗る相談員やケアマネが常駐する場所があるのです。とにかくそこへ行って、「こんなに料金が上がったら困ります!」といえば必ず相談に乗ってくれるし、専門家なら種々の制度ももちろん知っているでしょう。そのまま役所の介護福祉課に繋げてもらえるはずです。

もしすぐには解決しなくても、「困っている」「不安だ」は伝えておくだけでも大いに意味があることです。…というのは、役所は訴え(相談や申請)がないとどうにも支援のやりようがなく、結果「大丈夫なのだろう」という判断しかできないモノですから…。

こういう時こそ地域包括を「使い倒す」権利を、ぜひぜひ行使していただきたいと切に願うものです<(_ _)>。

と、同時に。
ツイッターなどの一般人発信メディアでこういうことが話題になるのも、また制度見直しの力になったりするのかな…とも思います。
ようするに「困った!」は声高に、聞こえるように言うべきなのでしょうね…黙って耐えないで。