その173 そんなことをしたら、どうなるか。
今年1月後半に発生した「コンビニ・回転寿司店での迷惑行為」。
前者ではコンビニのアルバイト店員が売り物のポテトを手でつまみ食いしたり、後者では他人が注文したお寿司にいたずらをしたり…。これらの動画を見た視聴者から「もうコンビニ(回転寿司)行けない!」と非難が殺到しました。
介護職員として(いや一般市民としても…)食品の安全は最も気になるところです。こんなイメージが付いただけでも企業の損失は計り知れず、実際2月の始めには株価も暴落したそうです。
特に回転寿司の迷惑行為については企業側がハッキリ「法的賠償を求める」姿勢を明らかにしており、もうイタズラなどと言って済まされない状況になってしまいました。裁判の結果は判例となって残ることでしょう。
しかし筆者はこのニュースについて書こうとパソコンに向かって、いやはや困ってしまいました。…問題点が多すぎて、絞り切れないのですね…。思いつくままに羅列しても、
・常識の欠如
・公衆衛生観念の欠如
・間違った自己顕示
・波及する事態に対する想像力の欠如
・過去の事例の無知
・結果(刑法罰)の無知
…等等。しかもこれらひとつひとつについてそれぞれ一本コラムが書けるほどの大事なお話ばかりです。いったい何から考えたらいいのか、冗談抜きで頭痛を感じました(-_-;)。
個人的に筆者は年々こうした「飲食店でのイタズラ(犯罪)動画」から受ける心のダメージが大きくなっております。やはり介護職員としての経験から最悪の事態を想像してしまいます。
バイト中や回転寿司店でのイタズラ動画が初めて大問題になったのはたしか2013年だったと記憶しております。(当時はバイトテロという言葉はなく、投稿者たちは悪事を自慢げに拡散してしまうバカ者という意味で「バカッター」と呼ばれました。)
2013年当時筆者はまだ介護職員になって半年の時期で、そうしたニュースを見ても(イタズラも悪いが、なんでネットで自慢するのか)(そうまでして目立ちたいのか…)という、いわゆる「動機」のほうに目が行っていました。
しかし今では、投稿者の動機などより「そんなことしたら、どんな大変なことになるのかわからないのか」という「結果」のほうに目が行きます。
この問題については法律、食品企業、安全管理の専門家やコメンテーターの方々が種々意見されており、なかでも「こんなことがエスカレートして、毒物でも混入されたら…」とのコメントが印象的でした。
…というのは、介護職員から見ればわさびでも十分「毒物」だったからです。
考えたくもないことですが、例えば自分が介護施設の利用者さんと外食に行って…イタズラでわさびがてんこ盛りにされていたらどうなるか。ぞっとします。
食べた利用者さんが脳の血管に病気があったら?血圧が急上昇して、脳出血で死にます。
持病はなくても、せき込んでうまく呑み込めなかったら?窒息して死にます。
運よく吐き出せたとして、小さな米粒一つだけでも気管に入ってしまったら?肺炎になって、後日死にます。
このあたりの危機感はやはり健常者とは違うんだなと強く感じました。
…介護職員が毎日、一生懸命排除しているそれらのリスクが、安心して食事をするべきお店でレーンに乗って流れてきたらいったいどうしたらいいのか。見当もつきません。なんだか介護という仕事自体を台無しにされたような非常にイヤなニュースでした。
あのイタズラ(犯罪)動画のレーンの下流に、病気や嚥下の弱った方は幸いおられなかったようですが。また同様の事件がもう2度と起きませんように…。
(余談)
ある先輩と食事に行ったとき、こんなやり取りがありました。
食べ物屋では「悪いモノの名前すらはばかる」のが本当ではないでしょうかねえ…。