その191 災害時の「自宅の水」

先日、町内会で避難訓練がありました。

 町内会役員や班長が朝8時から公園にテントを張り、いちど帰宅。9時に地震が起きたと想定して改めて公園に避難。そこで町内の同じ班の方々が避難してきたら点呼をとる。その後は、屋外発電機の使い方、チェーンソーの使い方などを体験したり、大きなテントをみんなで張ってみたりとなかなかもりだくさんな内容でした。

 参加人数は町内会全体の2割ほどでしたが、それでも80人近くが公園に集まりました。実は筆者はことし町内会の班長が回ってきておりまして、ふだんなかなかお会いできない近所の方に顔を覚えてもらうだけでもいい機会でありました。
 災害などない方がいいには決まっておりますが、訓練と称して集まるだけでも意味のあることですね。

 …しかしそれにしても、今年も天候不順ですね!

 先月には季節外れの「爆弾低気圧」が発生し、6,7日にかけて強風大雨が各地を襲いました。注目なのはこの時の気温で、なんと6日は夜になっても23℃もあったんですね!室内なら25℃、ほとんど熱帯夜です。低気圧が過ぎ去った7日の天気は「台風一過」と見間違うほどで、夏のような青空。…まったくこれでは、またいつどんな自然災害が起こるかわかったものではありません。  

 避難用持ち出し袋や、近所の避難所についてはこのコーナーでも何度かお話申しました。
 今回は、災害時の「自宅」について介護現場で習ったことをお話したいと思います。

 …というのも、実際になにかの自然災害が起こった場合。自宅が全壊または半壊でもしない限り、とりあえずはそこで過ごすことになりますよね。地震の避難訓練ではたいていいちど外に出ますが、収まれば家に戻ります。

 介護施設ではご自身で歩けない人も多く、夜勤中など職員が少ないときには他所に移動するのは現実不可能です。そのため、介護施設では自然災害が起きた場合でも基本的に施設内で過ごせるよう対策がなされており、また地域の避難所にも指定されていることは以前お話した通りです。
 自宅介護をされている方も、例えば寝たきりのご家族があれば移動は困難ですから…事情は似たものになると思います。介護以外でも、ペットなど避難所生活に適応できない場合もありますね。
 
 ですので、災害時よくいわれる「3日分」の備蓄は介護施設ならもちろんしてあります。飲み水、食料、利用者さんの薬などなど。筆者はこの経験から、自分の薬も余裕をもって出してもらうようになりました。
 停電で冷蔵庫が使えない場合、ガスが止まって火が使えない場合も想定して、食料は常温保存できる缶詰やレトルトが中心。こういう工夫も自宅でマネができます。

 食料、薬などがあれば電気やガスが止まっても自宅で数日持ちこたえることは十分に可能ですが…。

 こう考えていくと、災害時いちばん喫緊の問題はやはり「水」ではないでしょうか。

 俗にひとり1日3リットルと言われますが、これは生命維持のための量。トイレ、お風呂、洗濯などの生活用水は含まれておりません。災害時は風邪、病気、食中毒などが起こりやすいので衛生状態を保つことが大変重要になってきます。使ったタオルや食器を洗うにも、トイレを流すにも、飲み水以上に大量の水が必要になりますね。

 そこで筆者の勤めたグループホームでは毎日、利用者さんがお風呂を使い終わって掃除もすんだ浴槽に半分ほどの水を張っておりました。この水は何かに使う予定ではなく、もし万が一、夜中に災害や断水が起こった時のための用心です。
 さいわい筆者がいた3年間で一度もこれが必要になったことはありませんが(何事もなければ翌日水を足してお風呂として沸かしてしまいます)、さすが介護施設だなあと感心してよく覚えております。

 たかが浴槽半分の水ですが、それでも100リットル以上はあります。洗い物ならバケツに30杯はできるし、トイレなら20回くらい流せます。これはかなり心強いです。


(トイレが流せないなんて、恐怖ですからね…(^^;))

 筆者もこれは自宅でマネております。これのいいところは、別段お水がムダになることはないってところですね。次の日のお風呂になるだけですから。

 実際には、災害で停電しても水道が止まることはめったにないそうで、戸建ての家屋には電気でなく水圧で給水されております。ただ高層マンション(5階以上など)にお住まいの方は、電動ポンプが必要なため停電による断水の可能性があるそうです。

 何事も用心、いちど管理会社等にご確認をお勧めいたします。