その158 ラブレター フロム 身体

夏です。食欲は落ちていませんか?

ということで前回に続いて、また「便」のお話など…。

前回ご紹介した「ブリストルスケール」での良い状態の便とは、硬くもなく水っぽくもない、まとまった便でした。
こういう良い便になるには、食事や運動に加えて、最近よく言う「腸内環境」が大事だそうですね。ことに近年「脳腸相関」と言って、脳と腸には自律神経や交感神経を通じた密接な関係があることが指摘されています。具体的には、腸内環境は単にお腹の調子だけでなく、睡眠サイクルや気分の安定、ストレス耐性などにも影響するということです。
こうなると「たかがウンコ」と見過ごすわけには行かない気もしてきます。なにしろ腸内環境の、唯一目に見える証拠品ですから…。

(ところでなぜ排泄物のことを「便(べん)」というのかは、ご存じでしょうか?一応確認しますと、「排泄物は、体からのお便り」という意味ですね。ラブレターフロム身体というところです。
余談ですが、ならば「びん」と読ませた方が「郵便」などを連想しお便りの感じが出そうですが…閑話休題。)

筆者は介護職員を経験してから、自分の便の状態を気にするようになりました。
というのは、介護職員になったのが30代前半だったこともあり、なんだかお腹が弱くなったかなあ、トシかなあ…と感じていたのです。

自分の場合一般に言う、「野菜を採ろう」「食物繊維を採ろう」などを実践しても、効果はあまり芳しくありませんでした。尾籠(ビロウ)でスミマセンが、頑張って野菜をたくさん食べても便が硬くなるだけでした。

今考えると、採り方がまずかったのですね。

介護の研修で「腸内環境」を教わって実践してからは、便の状態はハッキリと改善しました。

その114 目に見える腸内環境

原因は「野菜不足」でも「加齢」でもなく、「乳酸菌(などの善玉菌)の不足」だったわけで…。年齢によって腸の乳酸菌量が減り、成人以降は意識的に採るべきことを知りませんでした。腸内環境が悪いまま難消化な繊維質ばかり取っていたら便が硬くなって当然です。何度か書いていますが自作ぬか漬けで菌と繊維を補給するようになってからは特に効果が目に見えて出てきました。

こういう「原因の誤解」→「間違った対策」はままあることで、健康情報も生兵法はいけないと強く感じるところです。身体からのお便りを、正しく読めていなかったのですね…(-“-)

ところでこの腸内環境に大事な乳酸菌ですが。

どうも人によって合うものと合わないものがあるなあと感じております。たとえば筆者は「ぬか漬け」の植物性乳酸菌が抜群に合うのですが家人には合いません。家人は子供のころからヤク〇トでないと効かない、と言います(^^;)まあそれは極端にしても、動物性(チーズやヨーグルトなど)のほうが合うようです。カレーを食べに行くと必ずラッシー(ヨーグルトドリンク)を頼んでいます。体質や、今までの習慣にもよるのでしょう。万能の食品はなく、自分に合ったものを見つけるのが重要…と言えそうです。

ただそうなると家人はスーパーで買ってくるだけでいいですが、筆者は野菜を切り、塩でもみ、ぬか床を毎日かき混ぜねばなりません(笑)。床から取り出して洗うのも朝は面倒ではあります。お金はかからないぶん手間がかかり、「よい便を出す」のもこれでなかなか苦労のいることです。

しかしおかげで、身体から「よいお便り」をいただけるとそれはそれで嬉しく、また今日もぬか床をかき混ぜる筆者でありました。

(余談)
解剖学者でベストセラー作家でもある養老孟司氏は、「生きがい」について「俺は、これからトイレに行くってときが人間としていちばん生きがいを感じる」と書いております(『日本人の正体』宝島社新書)。一読、笑いながら、でも深くうなずきました。さあ食べるぞ!やっと眠れるぞ…そういう瞬間と同じと考えれば、確かにトイレも生きがいです。