その235 秋ですが、脱水について…

十月ですね。

 十年に一度の酷暑と言われた本年の夏も、さすがにさすがにもう暑さも落ち着いたとは思うのですが…(これを書いているのはまだ九月で、筆者はそう願うばかりですw)。
 報道の通り、たいへん厳しい夏でした。筆者の住む神奈川県の海沿いでも、連日の熱中症注意放送が町内スピーカーより鳴り響き、光化学スモッグも何度か発生いたしました。

 お読みの皆さんも、体調など崩されませんでしたでしょうか?お疲れ様でございましたm(__)m。

 さて今回は「脱水」についてのお話です。
 いまごろ?と思われそうですが、先日、脱水についてこんな体験がありました。自分ではなく…飼い猫の健康診断です。

 8月の終わりのこと。

 我が家には2匹の猫がおりますが、どうもそのうちの一匹が元気がありません。日中の活動量が減って、食事はとるもののあとはゴロンとしております。猫が寝るのはいつものこと…なのですが、気持ちよく昼寝ではなく、なにかボーっと、目もうつろにつまらなそうに動かない…そんな雰囲気です。いる場所も冷房を嫌って暑い台所。少し心配でした。

 当方はつい、いぜん介護現場で見た「脱水症状を起こしかけている利用者さん」に似ているな…と思いました。
(このようなコラムで人間と動物と一緒にするのは何かと良くないとは思いますが、やはり似ている、共通する部分も多々ありまして。今回その点ご了承ください。)

 ちょうど健康診断に連れていく時期でもあり、動物病院に行ってみました。

 そして血液検査の結果を見て、驚いてしまいました。

 検査結果にはいろいろな項目がありますが、どの数値も「まんべんなく」悪いのです!基準値ギリギリ、ある項目は超えています。

 我が家の猫はまだ3歳半、持病もありません。もし仮に今回どこか病気があったとしても、こんなに「まんべんなく」数値が悪いってあるのでしょうか?
 筆者の知識では肝臓が悪いのか膵臓が悪いのか腎臓が悪いのか、脂質・タンパク、ミネラルか…いや何度見ても「まんべんなく」悪く、さっぱり見当もつきません。

 そこで獣医さんが一言、「脱水気味ですね」と仰いました。

 水が足りないために、血液が「濃く」なっている。とうぜん、さまざまな血中物質の濃度の数値が「高く」なる。なので基準値より「悪い」という結果になる…とのことでした。
 幸い、病気はなにもありませんでした。

 その説明を受けて一応は安心したものの、よく考えたら逆に恐ろしくなってきました。

 だって、病気は何もなくとも「水が足りない」というだけで病気と同じような血液になっている…つまりはそういうことですから。

 筆者は何度も「脱水に気をつけましょう」と書いてきて、体温調節や電解質異常、皮膚の乾燥についてなど今まで触れてきました。が、脱水の恐ろしさはもっともっと広く、根深いようです。

 人間でも、健康診断で何か悪い数値が出たらお医者に掛かり、薬をもらう。あるいは塩分を控える、脂質を控えるなど生活習慣を変えたりします。さまざまに涙ぐましい努力をするわけですが、それもまず大前提として「十分な水分」あってのことなんですね…。
 水が足りないだけで病気もないのに病気の人と同じような数値が出る。じゃあもともと病気のある人はむろん「脱水」なんてとんでもないお話で。

 多すぎる物質や高すぎる体温は水で薄めて・身体の外に出す。そもそもそれができなくなるのが脱水なのだと改めて痛感いたしました。

 とうぜん、以降は猫に水分を勧める(笑)のが筆者の仕事になりました。もともとあまり水を飲まない猫なので、なぜ飲まないのか、どういうものなら飲むのか、いろいろに検討したり対策したり…これも人間の介護とよく似ておりますが。
 猫トイレのおしっこ量に一喜一憂しつつ…おかげさまで今ではすっかり回復いたしました。

 「脱水」を治すのは当たり前ですが「水」であり、これがなければお医者さんがどんないい薬をだしてもどうしようもありませんね。そして様子を見ながら水を日常的に勧めること、それは薬以上の効果があるすばらしい「仕事」なのだということも、今回再確認いたしました。これが介護のお仕事です。

 秋も冬も、引き続き「脱水注意」を声高に叫びたいと思います!

(追記)

現実的、経済的にも「予防」が一番ですね…(^^;)