その237 出もの腫れものところ嫌わず…
 11月です。そろそろマスクが手放せない季節になってまいりました。
 (つい先日まで暑い暑い言っていたような気がするんですが…本当に楽な季節が短くてため息が出る思いです(^^;))

 さてマスクといえば俗に、「出物腫れ物所嫌わず(選ばず)」などと申します。ビロウなお話で申し訳ないですがいわゆる両便をはじめとして、生理的に出るもの(ガス、汗、涙、セキ、クシャミ、吹き出物…などなど)はいつどこで出てくるかわからないという意味の諺ですね。
 いま調べて知ったのですがこの「出物」には「出産」も含まれるそうです。なるほど生理的に出てくるといえば、こんなに大きなものはない…たまには嬉しい出物もあるのですねw。
 ただ言葉で「所嫌わず」とはいっても、実際はそう所かまわず出していいものではありません(^^;)どうしてもこうしたものは隠される、できれば出ないで欲しい、という傾向にあります。
 出るべきものを出さないとどうなるか…これも怖いことですよね。
筆者は介護職員を経験して、介護の現場では「出るべきものが出る」ことに対して非常に肯定的である…そういう雰囲気にまずカルチャーショックを受けた覚えがございます。
トイレはまあ、すぐ理解はできました。健康のためちゃんと便通があるかどうかは大問題である、これは年齢も健康状態も関係ない、自分だって同じことですから。
驚いたのはセキ・クシャミです。
介護職員になりたての頃は利用者さんがセキやクシャミをしていたら驚いてしまいましたし、急な体調不良かと不安になったりもしました。
が、医療関係の研修や理学療法士さんから、「セキやクシャミは身体の自然な反応である」と教わり、むしろ出ない方が大問題なのだと教わったときの驚きはよく覚えております。
確かに食事中、食べ物が気管に入ってしまった、セキが出た、食べ物も飛んで出た…これには何の問題もないわけです。自分で自分の身体を守っただけですから。むしろ「自立」していますので介護職員としてはその元気さを喜ぶべきであります。まあ周囲は少し驚きますが(笑)…。
 逆に大変体力の衰えてしまった状態だと、その出すべきセキができなくなってしまいます。すると気管に異物が入り、タンがたまっても切ることができず…もっと悪いとそのまま肺炎になってしまったり、などというケースがあると教わりました。
 もっと緊急な場合では窒息です。これはセキどころか声も出なくなってしまい、周囲が気づいたときには…というケースもありうると。実に怖いことです。
そうなればセキが出るクシャミが出るというのも立派な自衛の能力であり、むしろありがたいことだと思うべきかもしれません。
また「出すべきもの」を自然に出さないとこういう二次被害も起こりえます。
…先日、筆者もクシャミが出そうになりまして。
それがお店の中で、目の前に親子連れ、小さな子もあったものですからとっさにクシャミを「こらえて」しまったのですね。歯を食いしばって、嚙み潰してしまったわけです。
そしたらですね。
なんと腰にエライ衝撃が走りまして(^^;)危うくギックリ腰になるかと思いました!
 いやあ、すごいですねクシャミのパワーは。
 
 一説には唾液を3メートル吹き飛ばすだとか、直立では腹部周辺に350キロ(これはプロボクサーのパンチ力ほどの重さですが…)の圧力がかかるとか言われますが。大げさじゃないなと実感してしまいました。高齢者や病人でなくとも、下手をするとギックリ腰どころか椎間板ヘルニアや肋骨にヒビが入るなどの危険性があるそうです。
出るべきものをなんとか隠そうと思っても「なかったこと」にはできず、その「出そうとするチカラ」は必ずどこかにしわ寄せがいくのですね。いやはや…。
これから寒くなり、乾燥してノドの不調、風邪、感染症も怖い季節です。セキやクシャミも出るでしょう。それらを不自然にガマンするよりは、やはりマスクをするほうが無難なようです(^^;)。
この冬も予防をして、出すべきものはしっかり出して。なんとか元気に乗り切りたいものですね!
