その216 大掃除!の思い出とこれから
12月も半ば.
このコーナーも今年最後の一本になりました。2024年もお付き合いいただきありがとうございます。
さあ年末、大掃除のシーズンです。
お読みの皆様はもう大掃除、お済でしょうか?
大掃除といえば皆さんいろいろと思い出があるようで、筆者の勤めたグループホームでも入居者さん同士「障子を思い切り破っていいのが楽しかった」「むかしは畳までひっくり返して布団叩きではたいた」などなど思い出話に花咲かせつつ一緒にお掃除をいたしました。業務とはいえ楽しいひとときですw。きっと今年も各施設でそんな光景が見られることと思います。
筆者もご多分に漏れず、幼少期は父母に掃除法を教わりつつ、また怒られつつ(笑)大掃除をした覚えがあります。掃除は面倒ですが大掃除はイベント感があって、やはり楽しい思い出ですね。
さて大掃除というとこの頃気になるのが、高齢者と住環境の問題です。
近年、加速する高齢化に伴って「高齢者のゴミ屋敷(モノ屋敷)問題」がクローズアップされてきました。モノが多い、捨てられない、暮らしも不便だし火事や病気が心配だ…特に高齢者の一人暮らしや認知症を患った方に顕著な問題だそうです。
ご家庭で介護されている方々もよく実感されるところではないでしょうか。
これはいわゆる「掃除ができない」「だらしない」という性格の問題ではなく、体力や病気、生活習慣、精神状態などを含めて老若男女誰にでも起こりうる状態だということが明らかになって来ていますね。
医学的には「ためこみ症」といわれ、実際の価値とは無関係に所有物を捨てること,手放すことが持続的に困難であることによって特徴づけられる精神障害と考えられています。
高齢者の場合はまた認知症があると、ゴミの日の曜日感覚や捨てるべきかどうかの判断力の低下なども加わってきます。
単純に体力、意欲の低下もすすんできます。
食べ物や生ごみが加われば健康問題にもなるし、ご近所との関係も悪化してしまいます。
またこれも近年の研究ですが、住宅の「カビ」が認知症に悪影響があるとの報告も上がっておりますね。ある種のカビの毒素を吸い込むと脳に悪影響を及ぼし、特にアルツハイマー系の認知症を加速させてしまう…などと言われております。今後の研究が待たれるところです。
もともとカビは高齢者死亡原因ワースト1の肺炎を引き起こすのに、認知症にまで悪いとなればいよいよ「介護の天敵」と言わざるを得ません。
ゴミ問題、掃除ができないって大変な事態ですね…。
実は筆者も、母(すでに他界しております)に介護サービスを頼もうと思ったきっかけはこの「ゴミ問題」でした。
実家の母と離れて暮らす筆者はたまの電話や帰郷で(耳が遠くなったみたいだ)(少し痩せたな)などとうすうす母の衰えを感じてはいました。片付けの体力も落ちたようで、筆者は実家に帰るたび苦笑いで掃除ばっかりしておりました。でもまあ、まだ大丈夫だろう…と先送り先送りに考えておりまして、それは母の衰えを認めたくない気持ちでもあったと思います。
が、あるとき実家に足を踏み入れて、その玄関にまでモノがあふれているのを見た瞬間(あっ、これはもうダメだ。プロの力を借りなくては)と思いました。ああいうときは苦笑いなんて出ないんですね、顔が凍ってしまいました。
それだけあふれるモノ、ゴミの物量感は圧倒的で、もうこれを母ひとりでどうにかできるわけがないとハッキリわかるものでした。それ以降、母の病状が進んで車イスになった時よりも、筆者の顔を見てすぐに息子と思い出せない母の困惑顔を見た時よりも…このあふれるゴミを見た時の方がショックでした。
子どもの頃、親と一緒に大掃除をした。ふざけて怒られてばかりいましたが、今思えばあんな幸せな掃除はなかったのでしょう。
認知症予防といっても日常生活動作の維持といっても、それはよくある脳トレや筋トレより先に、なにより「自分の家を自分で掃除する」ことなんだと痛感いたします。そしてそれができるのは幸せなことです。掃除は正直メンドウでも、やはり幸せなことなんだと思います(^^;)。
では筆者も大掃除の仕上げ、押入れの下段にカビ予防の消毒スプレーなど撒いて来ようと思います!
今年も一年ありがとうございました。
また来年もよろしくお願いいたします!