その24 「座る」と「しゃがむ」
先日興味深いニュースがありました。
『全国の学校トイレ、洋式便器が約4割、和式便器が約6割』・・・熊本地震で避難所になった学校で和式便器が使いにくいという苦情があり、この調査に繋がりました。学校側は全国的に「洋式便器に切り替えを進める」方針を明らかにしました。
「トイレの話なんて、くだらん」と思わないで下さいw。大事なこと、介護にも大いに関係がありますよ。
介護施設はもちろん洋式便器で、私の見た限り和式便器はありません。しゃがむより座る方がラクですし、支援も格段にやりやすいですね。和式で支援しろ、といわれたらちょっとどうやっていいか、頭をひねってしまいます。入居者さんと公共の場に出かけるとき、(和式便器じゃないだろうな)と心配するくらいでした。
ふと「どうして不便な和式便器なんてものが、この世にあるのか?」と気になりました。・・・で、調べてみると事実は意外で、古来、世界中どこでもトイレはしゃがんで行うものだったとのことです(なので「和式」というのはちょっと違いますね)。洋式便器が日本で一般的になった(過半数を超えた)のはつい最近の1977年。戦後GHQが強力に洋式を推進し、30年以上かかってやっと一般になじんだとのことです。平均寿命が短かったとはいえ、それ以前はどうトイレ支援していたのか疑問です。
では西洋の方がトイレ文化が進んでいるのかと言えばさにあらず、中世では「ベルサイユ宮殿にもトイレがなかった」のは有名な話です。トイレ処理の清潔さではむしろ東洋の方が進んでおりました。洋の東西を問わず「座ってトイレをする一般的な器具」は近代まで存在しなかったようです。
私は1980年生まれで、洋式が「
世界標準」と思っていた(だって「洋式」ですからw)ので実に意外でした。あらゆる面で洋式の方がラクだし安全だし、これが長い長い人類の歴史の中で、つい最近の発明だとはちょっと信じられないような気持ちです。
人間の変わらざる営みの一つが「ガラっと」変わった、特殊な時代に生きているわけですね。
もちろんこれは先進国の話で、洋式便器のない国のほうが圧倒的に多いわけですが。
食べれば出るのは開闢以来の真理(というより、出なければ病気)ですから、「食の安全」とともに「排泄の安全」も注目されてしかるべきでしょう。貴重なニュースだと思い紹介いたしました。
(追記)
「座ってトイレをする」歴史を調べてみると、そもそも椅子の歴史(椅子がなければ洋式便器もない)、宗教の歴史(キリスト教・不潔の時代)、文化の歴史(城、街、水道)、農業の歴史(肥料としての再利用)などなど様々な分野に広がってとても短期間では調べきれませんでした(笑)。やはりトイレは生活の根幹、等閑に付すことはできぬ問題のようですね。