その179 言葉の正確さ以前に…

突然ですが問題です。
どっちが「シャベル」でどっちが「スコップ」でしょうか?

4月、ある深夜ラジオのパーソナリティさんが「最近言葉が出てこない!」と笑っておりました。生放送のラジオDJとしてはホントに笑うしかない事態ですねwその人はまだ50代ですが、言葉の能力(前頭葉)は20代をピークに老化をはじめ早い人は30代で言葉が出にくく感じることもあるそうです。正直、43歳の筆者も大いに身に覚えがあります(-_-;)。

「扇風機」と言いたくて「換気扇」と言ったり、「洗い物あったら冷蔵庫入れといて!」などと口走ることはしょっちゅうです。いけませんねえ。言葉の行き違いはトラブルのもとになるので、我が家ではなるべくアレ、コレなどと言わずちゃんと名前で言おうと決めております。出てこないときは「ちょっと待って、ええと…」と言う、その場合は待つのがルールです(笑)。脳の老化を遅らせるためにも大事な習慣になっております。

ただ、先日家人と庭いじりをしていて、冒頭の疑問にぶち当たってしまいました。

「シャベル取って」と言われて、筆者が渡したのは大きい方の道具でした。しかし家人は「これはスコップでしょ!」と言います。いや、自分はずっとこの大きいのをシャベルと言ってきたのですが…でも、あれ、そう言われると何故そうなのか、自分も根拠は説明できません。結婚17年目にして初めて気づいた言葉の違いでした(笑)。

しかしこの場合はどうしたらよかったのでしょうね。言葉を正しく使おう、と気を付けていましたが、二人ともコレが正しいと思っている場合は。

シャベルとスコップなんてふだんは厳密に差別化する必要もないし、今までそれで困ったこともないのです。では改めて辞書で正しい意味を引くか?…しかし調べたところで、相手が知らない「正しい意味」なんかどうせとっさの時には通じません。そもそも家人は言葉の意味を知りたいわけでもないのです。
つまりこの場合「どっちの言葉が正しい」というよりも、「相手が今欲しいのはどっちか」が問題なわけですね。

なのでこれは言葉じゃわからない。相手が今なんの作業をしているか、必要なのは大きい道具か小さい道具かを「見る」ほうが重要です。

…と、そこまで考えて、あれ、そんなこと介護現場では当たり前にやっていたな(-_-;)と今更ながら思い出しました。
介護現場には言葉での意思疎通が難しい方がたくさんおられますからね。

考えてみれば世の中には赤ちゃん、子供、外国の方、聴覚や発語、また言語能力に障害を持った方、たくさんおられます。それでも様子を見て考えて察して、なんとか意思の疎通をしているんですよね。動物なんか言葉がなくてもしっかり意思疎通するわけで、言葉というのは本来、補助的なものだったはずです。こだわりすぎるとおかしなことになりますね。言葉尻だけを押さえた変な論争が多い世の中、余計にそう思えます。
そう思うと、言葉だけで大きな「シャベル」をホイと渡した筆者は、介護職員経験者としてお粗末な失敗でありましたね。…反省しきりです(-_-;)。

言葉を正確に使おうというのは当然いいとしても。それ以前に、ちゃんと相手の様子を見て行動しなきゃと改めて思いました次第です。
(余談)

冒頭の問題ですが、一応、ちゃんと調べてみました。すると土を「掘る」のがシャベルで、土を「掬う」のがスコップだそうです。…すると、これは筆者も家人も両方間違っていた(笑)わけですね。正解は「大きいシャベル」と「小さいシャベル」。スコップはありませんでしたw。