その195 使い捨ては果たしてムダか?
前回に引き続いてスーパーの話題でいきましょう。
先日、買い物を済ませてバッグに詰めようとしたら、こんなものが目に入りました。
作荷台…ここ数年ですっかり耳になじんだサッカー台のことですね。本来は袋を意味する英語「suck」が由来だそうで、この「作荷」という漢字は当て字だそうです。が、なかなか感じがでていていいですねw。荷物を作る台、なるほど。
さてこの消毒液はサッカー台用のものですが、はて、いままでここに消毒液なんかあったかな?と考えてみると…これも新型コロナ流行以後の感染対策のようです。以前はサッカー台ってあまり長居しない場所、使わない人は全く使わない場所でしたよね。
レジで袋詰めしてもらえば、そのままお店をでてしまえばいいのですから。
さきほど「ここ数年ですっかり耳になじんだ」と書きましたが、サッカー台という言葉が聞かれるようになったのはレジ袋有料化が始まった2020年7月頃でした。もう3年半も経つのですねえ。レジ袋を断り自分で袋詰めするのでサッカー台という存在が見直され、またそこで作業する時間が長くなったのですよね。
しかし、そのサッカー台に「消毒液」が置かれているとなると…どうもなんだかおかしな気がしてきます。
消毒液がある。つまり消毒しないと感染のリスクがある、ということですよね。多くの人が長時間そこにとどまり、作業をする、同じものを触るわけですから。
それならレジで袋詰めしてもらい、そのままお店を出た方が感染症のリスクは低いのではないか?と思えてきます。レジ袋有料化が始まった2020年7月というのは新型コロナ流行の真っ最中で、どうも当時からそれは気になっておりました。
確かに、レジ袋に限らずものをやたらと使い捨てにするのはもったいないことです。このごろはよくSDGsなどという言葉も聞き、持続可能な社会が叫ばれています。
が、こと衛生・感染予防においては「ものを使いまわさないこと」が非常に重要になってきますよね。新型コロナウイルスもまずは食事や食器を共にした人々の間で流行したのは記憶に新しいところ…。
筆者が勤めたグループホームでは入居者さんに「なるべく普通の環境ですごしてもらう」を目標に、いかにも介護施設ですよというふるまいはやめるよう心掛けていました。
たとえば職員も制服など着ない、普段着で過ごす。時間割やきまった行事などはなしにして、その日その日皆さんで行動をきめる、などなど…。
そんななか「洗面所に置いてあるペーパータオル」が問題になったことがありました。ふつう、ご家庭の洗面所でペーパータオルを使うだろうか?いちいち買ってくるのも経済的に負担だろう。布のタオルでいいんじゃないか?という疑問です。確かにそれはそうだと筆者も思ったのですが…。
しかしホーム長は「うん。そうだけどここはダメだな。ペーパータオルじゃないと」と言いました。
顔を洗う、歯を磨く、そして手や顔を拭く…そういうタオルが入居者さんみんなで共用だとなにかの拍子に病気がうつるかも知れないからです。
ふつうに過ごしてもらいたい気持ちはあっても、ここはやはり介護施設。引き締めるところは引き締めないと、ということでした。
それで以後もペーパータオル使い捨てが続いております。
他にも消毒作業に使うペーパータオルやビニールのカッパ、トイレの支援に使うゴム手袋、すべて使い捨てです。
(消毒作業で汚れた手袋の捨て方も習いましたw)
レジ袋と並んでよく「使い捨てはもったいない」とやり玉にあがる割りばしも同じですね。いつでもどこでも清潔な「塗り箸」を持ち歩けるわけではありません。使い終わってすぐ洗える状況ばかりでもありません。割りばしは割りばしで必要なものですよね。
そもそも塗り箸ができる(安土桃山時代だそうです)前まではお箸はみんな使い捨てで、折って捨てるのが正式なマナーだったそうです。
使い捨てはもったいない。それはわかりますが、どうもこう優先順位と言いますか、せめてレジ袋や割りばしより先にカットすべきものがあるような気がしてなりません(^^;)。
ことに衛生に関しては、必要な「使い捨て」を賢く使っていきたいですね。