その95 介護マンガができるまで

 

現在、当社所属の理学療法士・田中義行氏監修による「拘縮」についての書籍企画が進行中です。拘縮の理論・ケアの実践についての本で、初心者にもわかりやすいよう半分以上をマンガで構成しています。マンガ部分は不肖ワタクシ・梅熊大介が担当しております。
進行は順調、年末には発売の予定です。その折にはまたご案内いたします。

さて今回は、介護の本、ことにマンガをふくんだ物がどうやって作られているのか?をご紹介したいと思います。マンガだからと言って、もちろんオモシロ半分に描いているわけではありませんw。

まず、出版社の編集さん、監修者の理学療法士さんと打ち合わせをします。どういう内容で、どういう人に読んで欲しいか。どう描いたら解りやすいか?・・・この時点ですでに三者三様といいますか、編集・専門家・漫画家で意見が違うので打ち合わせは断続的に何回も行います。特に今回は医療の知識も含むので、理学療法士・田中さんとの打ち合わせは綿密に行われました。

意見がでたところでプロット(イメージカットや文章で全体の構成をまとめたもの)をつくります。今回はマンガが多いので不肖ワタクシがたたき台をつくりました。これは一部ですが、ページにして15枚ほどになりました。

だいたいこんな感じでよかろうとなったら、マンガの下書き(「ネーム」といいます)を作成します。

ここが漫画家としては一番ホネの折れる作業です。お話を作り、セリフと絵のバランスを下書き。これを読んで専門家・編集さんから「このセリフは誤解を招く」「この絵ではわかりにくい」「このギャグは滑っている」などと手厳しい批判を受けますw。涙を飲んで修正を重ねます。

それが済んだらいよいよ原稿用紙にマンガを描いていきます。

(出版社の了承を得て、実際マンガに使われるページを公開します)
最近、マンガはパソコンで描くものと思っているお若い方がありますが、手書き派もまだまだ存在します。
この下書きに「人物にペンを入れる」「背景を描く」「下書きを消しゴムで消す」「ベタ(黒塗り)トーン(中間色のシートを貼る)仕上げ」を施したら一応の完成を見ます。

この作業を112回繰り返すと、本編112ページが完成します。と、こう文章で書くとあっという間ですが・・・体力のいる作業ですw。

出来上がったら原稿を編集さんに渡し、セリフを入れたり印刷用の微調整を施します(いまこの段階です)。

もちろんマンガ以外の、文章やイラストによる拘縮の専門的な解説にも十全にページを割いております。解説は理学療法士・田中さんがただいま鋭意作成中です。
マンガの各章に解説をはさみ、目次やあとがき等、最後に全体をまとめるのは編集さんのお仕事です。

・・・と、だいたいこのようにして介護の本は生まれます。

介護のマンガというとどうも「いい話」系が多く、実際のケアや疾患の理論に触れたマンガはまだまだ少ないのが現状です。難しいことを解りやすく、面白く読めるのがマンガの大きな利点。ただいい話で終わってはもったいない・・・と、ある程度の知識を盛り込み「このマンガを読んだら次は専門書が読める」ような作りを目指しました。

では完成をどうぞご期待下さい。