その224 病気と薬と副作用と…

 すっかり暖かくなってまいりました。
 一年で一番、気分のいい季節です。

 …などとのんきなことを言っておれるのは花粉症のない人間の話で、花粉症のある方はもうこの時期たいへんらしいですね(^^;)。筆者はない方なので「らしい」などと言ってしまいますが…。

 私事でスミマセンが毎年この時期、家人(妻)のパフォーマンスが著しく落ちます。花粉症のせいです。

 具体的に申しますと、話をしていても内容が入っていない。約束事を大いに忘れる。目測を誤るらしくコップやら食器やらをよく倒す。寝起きは特にひどく、朝起きてから仕事に行くまでにさまざまな「うっかり」を起こしてまいります。

 先日、行って来ますと玄関を出ていった音がして、少ししたらまたドアの開く音がしました。

 どうした?と聞いたら「電動自転車のバッテリーをつけ忘れた」とのこと。まあそれくらいならよくあるのですが、バッテリーと鍵をもったまま玄関を出た家人は代わりに仕事のバッグを忘れておりました。

 すぐに電話し(スマホはポケットに入れていたようです)、取りに戻るのを待つ間キッチンで待っていると、なにやら冷蔵庫からピーピーと音がします。半ドアです。(ははあ、ヨメさん冷蔵庫のドアをちゃんと閉めなかったな…)と気づきました。
 立って冷蔵庫を閉めると、今度は水がドシャーと流れる音がします。
 …飼い猫が、トイレで遊んでいたために自動洗浄装置が働いたのでした。(トイレのドアも、便器のフタも閉め忘れたようだ)とわかります。

 トイレを閉めてキッチンに戻ると、ん、なんだか暖かいような気がする。廊下に比べてずいぶん気温が高い。

 うーむ、石油ファンヒーターも切るのを忘れて出たようです…(-_-;)。これはいただけません。ファンヒーターは比較的安全な装置ですがいちおう火ですからね…火の放置だけはいけない。

 なんだかもう怖いような気がしてきて、一応ガスコンロからお風呂場まですべての水と火の回りを調べてしまいました。

 正直、結婚当初は怒ったものです(-_-;)。

 なぜそんなに忘れるのか、せめてもうちょっと早く起きたら?などと言い募り、よくよく話を聞くと「花粉症」について様々教わりました。

 花粉症、アレルギーのない当方は当時ほとんど知らなかったのですが、くしゃみや鼻水が出るだけではないのですね。 

 鼻が詰まれば身体に酸素が回らず、頭がボーっとする。涙が出る、目が充血すればモノがよく見えず倒す、転がす、ドアやスイッチの目測を誤ることも増える。また睡眠にも影響するので単に「早く起きろ」といっても言うほど簡単ではない…などなど。
 家人の花粉症は特に寝起きがひどく、朝は目蓋が開かないほどだとそのとき初めて聞きました。

 自分が罹らない病気の苦しみ、できなくなることを知る機会は、日常ほとんどないものですね。(逆に筆者が坐骨神経痛になったとき家人に辛さを分かってもらうのが本当に大変でした…(-_-;))

 話し合いの結果、「それはちゃんとお医者にかかったほうがいい」と決まりました。

 …が、話はそこで終わりではないのですねw。

 薬には副作用がありますので、家人は鼻水と涙が止まった代わりに「眠気」に悩むことになりました(-_-;)。もともと弱い朝がさらに弱くなり、もうこれは仕方ないと春・秋は筆者が家人を起こし、仕事に行った後ひととおりのチェックをしております。…そろそろ20年になります(笑)。
 このように薬をもらったらもう安心とはいかず、副作用まで把握して対応していかねばなりません。花粉症もこうなると大変なお話です。

 ただ、これも「支援」といえば支援ですよね。

 のちに筆者は介護職員になり、入居者さんの持病、飲んでいる薬、それによる副作用を把握して注意点を医師に聞き、生活を支援する…と経験させていただきました。これも(仕事の方がずっと精度が高いとはいえ)根本的には同じことだなと思います。
 その仕事の中で、いちばん辛いのは病気を持った本人であること、病気の人には健康な方が合わせるべきだということを実地に身に染みて感じさせていただきました。

 以降、家人が新しくお医者にかかった場合は薬を見せてもらい、副作用の欄をチェックし、対応を話し合うことにしております。話し合うと言っても大したことではなく「また眠気の強い薬がでてるから朝はこっちのいうこともちゃんと聞いてくれよ」と頼むくらいのものですがw。

 もちろんなんでもかんでも病人扱いするのではなく、できなくなることを把握するだけです。それ以上は「支援ではなくおせっかい」とも介護現場で教わりましたしね。

 「ヨメさんの(花粉症と薬による)うっかり」くらいに目くじらを立てなくなったのは、やはり介護職員経験のおかげです。

 とはいえ花粉、そろそろ落ち着いてほしいとは思いますが…。
 いえ、もう少し頑張りますw。