その31 値上がりの防波堤
来月(2017年4月)より、一部のタバコが値上がりします。「エコー」「わかば」などのいわゆる国産の安いタバコ。ついに300円の大台に乗るようです。
また値上がりかという喫煙者の方、吸わないから関係ないよという非喫煙者の方。タバコ問題はどうしても感情論になりがちですが、誰もが『税金』としてはおおいに関係しています。この点、おさらいしてみましょう。
そもそもタバコの値上がりは消費税と関係があります。消費税の増税について全部を一律に上げるのではなく、食料品などの生活必需品の増税は押さえようという動きがありますね(軽減税率)。その分、生活必需品とはいえないものから税金を余計に取ろう・・・そこで白羽の矢が立ったのがタバコです。
現在もすでにタバコの税率は6割を超えており「もっとも税率の高い嗜好品」と言われています(消費税の8倍)。400円のタバコのうち240円は税金。この税収はちょっと無視できないものがあり、なんと自動車税とほぼ同じ額にのぼります。地方税収の3パーセント以上がタバコ、といえばその多さがわかるでしょうか。
「タバコなんて体に悪いものを、国はどうして売るのだ」「税金、医療費の無駄だ」と言う向きもありまして、お説ごもっともであります。が、「急にはやめられない」のは喫煙者だけでなく国にとっても同じこと。ついでにいうと歴史上「酒とタバコ」の廃絶に成功した国はありません。アメリカ禁酒法に代表されるように必ず手痛い反撃にあっています。「無くすのがムリなら、せめて国で管理しよう」・・・というのが現状で、近年は「増税しても文句が出にくい商品」としてとみに利用されております。
つまりタバコは増税の防波堤になっているわけですね。確かに食料品、医療、ガソリンに比べれば「必要」とは言えない、悪く言えば「ムダ」です。ムダなところから増税し必要なものを守る、これは理に適っていると言えましょう。
「高くなるなら、もう禁煙!」全ての喫煙者がかかる殊勝な決意をしたなら(そして実行できたなら)、その分「必要な何か」の値段が上がってしまうでしょう。それはそれで不都合であり、影響は非喫煙者にも及んでしまいます。
・・・と、たまには感情論でなく、金銭面から考えてみるのも新鮮ではないでしょうかw。
以上ながながとタバコのお話をいたしましたのは・・・介護が「税金で運営される事業」だからです。介護サービスの利用料、職員の給料、現状その双方に「タバコ税が3%」入っていることは知っておいていいと思います。
こうなると、「ムダ」と言い切っていいものか、ちょっと微妙ですね・・・。
(追記)
近所のタバコ屋さんの談。
「値上がりしたってね、上がるのは税金だけでタバコ屋の取り分は変わらないんですよ。値上げのたびに愚痴は言われるし、客は減るし・・・」とのこと。
小さな窓口のタバコ屋さん、という風景はちかぢか無くなってしまうかもしれませんねー・・・。