その178 少しづつ迷惑をかけあう
介護のお仕事は基本的に地域密着。筆者の勤めた介護施設は町内会にも入り、地域と繋がって活動していることを以前このコーナーでもご紹介いたしました。
その153 地域と繋がって
https://recruit.enzeru-corp.jp/column/2022/04/28/1003
さてお仕事の場合はこれでいいのですが、肝心の自分が生活している地域での関係はどうでしょう
?お読みの皆様も、地元で地域活動などなさっておられるのでしょうか。日中は出勤していたり、休みも曜日通りでない場合など、なかなか難しいかもしれませんが…。
私事ですが筆者は去年引っ越しを機に地元の町内会に入ってみました。
といっても、することは回覧板を回すとか、数か月に1週間の当番でゴミの収集所を掃除(ホースで水を撒いて洗うだけ)するとか、そのくらいです。コロナの影響で町内の人々が集まってのイベントごとは自粛しているようでした。
それが、今年は町内会の「組長」という役目が回ってきました(;^_^)。
これはやや役目が多くなり、募金のお願いや緊急連絡先を聞くなど、各戸を回る機会もありそうです。うーむ、まだまだお互いに知らないお家ばかりで少し緊張気味です。ただご近所というだけでは、そうそう会話のきっかけもありませんからねえ。
友達なら、共通の趣味もありましょう。仕事仲間なら働く目的、日々の悩みも共通です。ですが「ご近所さん」「地域」というのはそういう共通項はありませんね。仕事も家族構成もバラバラです。さて何を基準に、どう付き合っていくのがいいのでしょうか?
…と、思っていた矢先。タイミングよく偶然にも、東のお隣さんとご近所づきあいがはじまりました。きっかけは「迷惑」です。
3月のある日筆者が朝のゴミ出しから戻って家のドアを開けたら、スルリと飼い猫が外に出てしまったのです。ウチのは完全にイエネコとして飼っており首輪もつけておりません。家じゅうの扉や窓にネコ用ストッパーをつけておりますが、どこかに間違いがあったようです。
ネコはそのままウロウロした挙句、隣のお庭にジャンプしてしまいました(-_-;)放っておくわけにもいかず、早朝に失礼ながらピンポンを押してよそのお庭で大捕り物…。なんとか捕まったのですがもう当方は大恐縮です。その日の夕方、ちょっとしたお菓子をぶら下げてお詫びを言いに行きました。
有難いことに、お隣さんは「ネコが入っちゃったなんてお隣同士よくあること」「もし私がいないときこんなことがあったら、勝手に捕まえに庭入っていいよ」など優しい言葉をかけてくれました。その上、お詫びのお菓子に「ただ貰っちゃ悪いから、交換w」と笑いながらお家にあったケーキをくれまして、当方またしても恐縮の至りではありました。
ただこれ以後、気軽に挨拶やちょっとした会話くらいは自然に出てくるようになりまして、お隣さんの状況などもなんとなくわかるようになってまいりました。たまに病院で数日留守にされることがあり「なにかと迷惑かけるかもだけど」など仰る。お隣として知っておいた方がいい情報も入ってきます。
きっかけは当方の手落ちなんですが、考えてみればご近所づきあいの共通項は「ちょっとづつ迷惑をかけあう」ことなのかもしれません。
そういえば西のお隣さんと知り合ったのも、きっかけは向こうさんから「ウチの紫蘇が夏は大きくなって、そっちにタネが飛ぶかもしれない」と声をかけてもらったことでした。
もちろんそれくらいどうってことありません。こちらこそウチのトマトが伸びすぎたら切るので言ってくださいなどとお話しているうちに、なんとなくお付き合いがはじまっております。これも迷惑の掛け合い(笑)です。
お互いに近くに住んでいれば、何かとご迷惑もありましょう。それは避けられません。ならば最初から「ご迷惑おかけしますが」と言ってしまえば、それが自然な話のきっかけになるわけですね…。
このコーナーでも介護について「役所や行政サービスを頼ろう」「介護サービスをうまく使って、負担を抱え込まないで」と書いてきました。なるほど地域でも同じことのようです。周りを頼って、またたまには頼られて。迷惑の掛け合いです。
ならば町内会の組長と言っても別に緊張することもない、「初めてなもので、ご迷惑おかけしますが…」といって堂々と町内を回ろうと思いますw。
(余談)
冒頭マンガの続きですが、さらに驚いたことが…。