その54 予防できる認知症

介護の仕事をしていてこういうのもなんですが、やはり病気は病気。誰も望んでなるわけではありません。当然「認知症にはなりたくない」のが偽らざる本音ではあります。

そこで予防を心がけることになりますが…困ったことに認知症の原因疾患であるアルツハイマーやレビー小体などの病気はまだ原因が解明しきっておらず、どう予防したものかハッキリしていないのが現状です。脳卒中、脳血管系の病気もいわゆる生活習慣が問題で、コレといった予防法がありません。

「じゃあ予防はできないの?」…いえ、数ある認知症の原因のなかで、ひとつだけ自分の意思で回避・予防できるものがあります。

それは「アルコール性認知症」です。

アルコール、お酒を飲みすぎると脳が萎縮(縮む)して認知症状態に陥る…という恐ろしい症状で、これは若くして発症することもあります。逆にお酒さえ過ごさなければ完全に予防できる、ともいえます。

実際、私自身お酒は好きで、どうも飲みすぎではないだろうかと自信のないところなので正直…目をそらしていたいのですが…w。
アルコール性認知症だけでなく、飲みすぎは脳血管にも生活習慣病にもよくない。認知症のリスクを総合的に上げてしまう悪習慣といわれています(ああ耳が痛い)。

そこで自分のお酒は正常か、アルコール依存症になっていないか?「まさか依存症なんてほどは…」いえ、恐ろしいことにいつのまにかなっているのが依存症なのです。ちょっと真剣に調べてみました(以下、私の実体験記です)。

「お酒が切れると幻覚、幻聴がでる」「手が震えて頭痛がする」なんていうコテコテの症状だけがアルコール依存症ではないようです。上記のはいわゆる禁断症状(離脱症状)で、いつも飲んでいる人には現れません。

そこでまず3日、お酒を断ってみました。幸い離脱症状はありません。これで安心でしょうか?…いえ、まだです。

依存症は「摂取のコントロール障害」、つまり「飲みたい気持ちがガマンできない人」は依存症の疑いアリ。まず一週間やめてみようとのこと。
…しかたないので一週間、お酒をやめてみました。

これで安心でしょうか?…NO。まだです。一週間のガマンではまだ疲れた肝臓が回復しきらないとのこと。モノの本には一ヶ月試してみよう、とありました。…しかたないので一ヶ月、お酒をやめてみました。

さすがにもう安心でしょうか?…NOT・YET。まだです(笑)。長期ガマンできたとしても、いざ飲むときにまたコントロール障害がでるようではいけません。「飲むときも、ほど良きところでやめられるか」が根本的な問題であります。
…しかたないので一ヶ月達成記念の祝杯も、1合だけに留めました。

さあこれで安心でしょうか?…いいかげん、キリがありませんね(笑)

お酒にかぎらず生活習慣というものは「これで安心」ではなく、常に気をつけ続けるもの、キリのないものなのかも知れません。

今回私は極端にやってみましたが、以後は方向転換、「常に気をつけ続ける」をサボらないようにしたいと思っております。

医者の不養生、介護職員の悪習慣では笑えませんからね。

(追記)
読みやすく手に入りやすい、アルコール関連の本を以下に紹介いたします。だいたい図書館にもありますよ。

※『アルコール問答』岩波新書
『今夜、すべてのバーで』講談社文庫
『失踪日記』『アル中病棟』イースト・プレス

…一ヶ月飲まなかったら4キロ落ちました。恐ろしいことです。