その131 身近な「医療機器」

私事で恐縮ですが。
先日、掃除中にうっかりメガネを踏みつけてしまい、レンズが外れてしまいました(筆者は絵や漫画を描くときだけメガネをかけております)。先月の終わりごろのことです。

仕事に差し支えるので、今月初め、このメガネを作ったお店に修理に行きました。そのお店というのが近所の大きな駅ビルに入っており、少々イヤな予感はしていたのですが…。

案の定、緊急事態宣言を受けて、駅ビル全体が開店休業状態でした(^_^;)靴屋さん、服屋さん、雑貨屋さん、本屋さん、レコード屋さん、家電量販店さん、スポーツ用品店さん、床屋さん、変わったところではお仏壇屋さんまで入っている大きな駅ビルですが、軒並み休業中。メガネ屋さんも例外ではありませんでした。
通常営業していたのは1階と地下の、お土産や食料品売り場だけです。

困ったことですが、まあ緊急事態では仕方がないか…と、5年ほど使っていない予備のメガネを引っ張り出してかけてみたところが、もう度が合わなくなっており…いやはや、まったく困ったものです(^_^;)この文章が載るころには、メガネ屋さんは再開しているでしょうか…。

ただ、意外な発見がありました。
この一件を看護師の知り合いに話したところ、そのメガネ屋さんは大変ケシカランと怒ってこのように言うのです。
「メガネは医療機器。もちろん生活必需品でもあるのだから、緊急事態でも営業はするべきではないか。」とのことです。

私知らなかったのですが、お医者さんが専門的に使うものだけが「医療機器」ではないのですね。薬事法によると『医療機器とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であって、政令で定めるものをいう。』
メガネはこの点、政令で定められた医療機器だそうです。

医療機器は人体へのリスクが高い順にランク付けがあって、もっとも高いランクにはペースメーカーやステントなどが入るとのこと。

たとえばペースメーカーが故障したとしましょう。これは命に関わることで、病院に駆け込んでただちにペースメーカーを交換しようとした。ところがペースメーカーの会社が営業自粛中で「対応できません」とか言ったとしたら…これはもちろん大問題になるわけですが…(^_^;)
メガネも、程度の差はあれ、そういう器具の仲間だということですね。

しかしよく考えれば、メガネが無かったら仕事どころか命に関わるという場面はそれこそたくさんあります。
トラック、タクシーの運転手さん。免許証によっては運転ができなくなります。電車や飛行機もダメ。
精密作業で、危険物を扱う仕事もできなくなります。薬品や爆発物などの管理も危なっかしくてできません。
それこそ医師などの直接人命を預かる仕事だったら大変です。…お医者さんってみんなメガネしてる印象ですが、目が悪いとできない作業もたくさんあるでしょうし…手術とか。

想像をたくましくしていくと、たかがメガネでも色々な不都合が見えてきますね。マンガ家なんて害のないほうです(笑)。

今回の緊急事態宣言下では、こういう「想像力」の欠如を強く感じます。もう3回目(東京)なのですから、むやみに自粛自粛というだけでなく、何が本当に必要なのか落ち着いて考える時期ではないのか、と思われてなりません。

駅ビル地下一階では、数千円はしようという高級食材や豪華なお弁当が「行楽シーズン」ののぼりとともにずらっと並んでおりました。それが悪いとは言いませんが、医療機器より大事だとも思えません。

このちぐはぐさが、混乱した現状を象徴しているように感じられました。

(追記)
ともかく、平和な時にメガネの予備くらいは作っておくべきだということを、私は学びました(^_^;)緊急事態が明けたら早速作りに行こうと思います。