その57 不便さを売る商売?

4月も半ば、だいぶ暖かく…と、言いたいところですがなんだか天候不順ですね(笑)。「うららかな春の日」は3日4日あったかという程度。暑い寒い風が強いが交互に襲ってきて、飲み物もホットにしようかコールドにしようか、一日おきに悩む始末。私が今年初めて買った冷たいジュースは『カルピスウォーター』でした。皆さんはいかがでしたでしょうか。

余談ですがこのカルピスウォーターは「カルピスを薄める手間ぐらい誰が惜しむのだ、わざわざ缶で出して売れるか?」という声もあったようです。結果はご存知の通り、1991年以来のロングセラー。「カルピスを薄める手間」を惜しむ人がけっこうたくさんいたわけですね(私もその一人)。

同様の議論は「コンビニおにぎり」にもあったようで、国民食でありながらその登場はパン・サンドイッチよりも後でした。理由は「おにぎりくらいどこのウチでもにぎるだろう、わざわざ(以下カルピス同様w)」、結果は一日1000万食売れています。恐ろしい数ですね。
きっと『種抜きカリカリ梅』や『甘栗むいちゃいました』なんかにも同様の議論があったと推測されます。…いずれも定番商品ですね。

ことほど左様に「ひと手間省く」は商売、仕事になるものです。

ここで介護のことを思い出してみます。…どうも、逆にひと手間増やしてる仕事に思えてなりませんw。

利用者さんが「自分の能力で生活できるように」料理、掃除、洗濯などを支援しますが、けっこうわざと「昔ながらのメンドウなやり方」を踏襲したりします。
濡らした新聞紙を床にまいてホウキ、雑巾での掃除。乾燥機や食器洗浄機を使わず手で干す、拭く。料理も出来合いや冷凍食品などはめったに使わず作れるものはなるべく、おにぎりサンドイッチくらいなら当然作ります。

これはもちろん利用者さんに「昔できていたことを思い出してもらう」「生活の中で頭や身体を使ってもらう」という介護・リハビリなのですが、正直メンドウといえばメンドウなことです。
ご飯なんか職員がコンビニで買ってくればすぐ終わるしキケンもないのですが…それじゃ何のリハビリにもならず、介護の意味がありません。
よって介護は「ひと手間増やす」仕事と言えそうです。

まったく逆のことが、同じく仕事として成り立っている。オモシロイところですね。

なにごとも反復練習というのは偉大なもので、そんな「ひと手間」が認知症の進行を遅らせたりするのだからバカになりません。

…ふと「最後に自分でおにぎり作ったの、どれくらい前だ?」と考えてみました…思い出せませんw。日常、料理はまあまあしますが、ハテおにぎりは…?。

同じように思われた方。もしかして、おにぎり作るの「すっごくヘタ」になってるかも知れませんw。たまにはリハビリしてみましょうかね。

(追記)
逆に「このひと手間が大事」というこだわりも人によってあると思います。
我が家では、「唐辛子の種を分ける」のは私の仕事w。