その12 ああモッタイナイ・・・

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前々回に書いた、区立スポーツハウスでの会話です。

平日の午前から熱心に通っているおじさん。別段スポーツ好きなわけでもなく、退職してやることもないから来ている、とのことでした。「だって定年で会社、おんだされちゃったもん仕方ないよ!」とのこと。周りの方々も苦笑いしていたところを見ると、そういう人も少なくないようです。

まあ、モッタイナイことだなあと思います。
介護業界は慢性的な人手不足。その立派な筋肉、ヒマしてるならぜひホームに来てくださいと喉まで出掛かりました。

あまり知られていないことですが、『定年退職』とは世界共通のルールではありません。むしろ日本独特の制度と言ってもいいほどで、欧米、アジアでも定年制をとる国はほとんどありません。もちろん年金制度によりリタイアする人はありますが、それも自由意志によって時期を決められるのが諸外国の常識です。履歴書に年齢を書く必要のない国さえあります。

そもそも勤労は義務でもありますが、同時に権利でもあります。年齢を理由に権利を剥奪されるのは差別である、と考えられているのです。私もその通りだと思うのですが、なぜか日本では定年制が崩れませんね。

介護、認知症の面から言っても、社会と繋がって働き続けることはなによりの介護予防でしょう。まだ働ける人を退職させ、「仕事もなくボケてしまう」状態にすることに何のメリットがあるのか、首をひねるばかりです。年金、医療介護、社会保障費も足りなくなるばっかり。

介護職員の不足には外国人労働者を招くなどのニュースが聞こえてきますが、国としてもまず「自分のことは自分で」するべきじゃないのかな・・・と思います。

政治のことにまで口を出すのはこのコラムのガラではありませんが(苦笑)、あんまりモッタイナイのでたまには一言。

働き続けるか、リタイアするか、せめて自分で決めたいですよね。

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