その17 戦後○年?

 

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8月15日は終戦記念日ですね。今年で戦後何年でしょうか?
終戦は1945年。2016年は戦後、71年です。

介護現場の利用者さんには、戦前、戦中、戦後のお生まれの方、それぞれ居られます。戦争経験について、貴重なお話を聞かせていただくこともありました。

そういう時、個人的に気をつけていたのは・・・「なるべく黙って聞かせてもらおう」ということです。不用意なことを言わず、それ以上に「戦争ってイヤですね」といった常識、一般論も言うまいと決めていました。それは、勤めるホームでこんなことがあったからです。

ある秋の日、リビングに利用者Aさん、Bさん、Cさんがおりました。3人ともおしゃべり好きな方で、興がのってくると歌が飛び出します。そんな時はリビング全体が明るくなって、他の方も手拍子なんか取ってとても楽しそうです。その日も、Aさんが歌いだし、Bさんが「それ、父がよく歌ってたわ!」と一緒に歌いだしました。私は(お、これは盛り上がるぞ)と
楽しみに見守っていたのですが・・・あにはからんや、いつものってくるCさんが「やめてよ!」と怒ってしまいました。

「そんな、戦争の歌!聞くのもいや!」と。

・・・その時歌われたのは、「ここはお国を何百里~」で有名な『戦友』という軍歌でした。
これには参ってしまいました。

Cさんの気持ちはわかります。嫌な戦争を思い出したくない。しかしBさんは旧満州のお生まれ、まさに故郷の歌です。Aさんも軍隊経験のある男性、若いとき仲間と歌った想い出の歌に違いありません。戦争がどうというより、お二人にとってはただ懐かしい、親しい歌なのです。
私は何と言っていいかわからず、介護職員として恥ずかしながら、しばし絶句してしまいました。

現在「戦争はいけない」というのは議論の余地のない常識です。が、実際に経験された方々を目の前にすると、私の正論や常識でわかったようなことを言うなんてとてもできることではありません。たった71年前まで、まったく逆のこと、「お国のために戦うのが立派だ」が正論で常識だったのですから。両方を知っておられる体験者の思いに触れると、肯定も否定もただ失礼な気がしてしまうのです。

・・・なのでそれ以降、「せめて黙って聞こう」と決めた次第でございます。

今年で戦後71年。ずーっと「戦後」が続きますように。

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