その153 地域とつながって

当社の活動方針のひとつに「地域とつながって」というものがあります。

介護サービスの利用者さん、例えば施設に入居している方でも、施設の中だけで過ごすのではなく、買い物や外出を通して地域と繋がっていこうというものです。筆者の勤めたグループホームでも、午前午後の買い物、お医者さん、季節ならお花見やお祭り…ちょくちょく利用者さんと一緒に外に出かけておりましたが。

そうした外出の一つに、「回覧板を回す」というのがありました。筆者は実家を出て以来、回覧板を回すなんて20年はしておりませんでしたので、いまだに「回覧板」というモノが存在していることに少々驚いたものです。情報時代、ネット時代と言われても残るものは残るのですね。

実は介護施設は、地元の町内会に参加しているところが多いそうです。

これは先輩に聞いたお話ですが、筆者が勤めたグループホームも開設当初、15年以上前には「地域の方から(なんだあれは?)の目を向けられていた」そうです。
認知症の方々が集まって、助け合いながら生活する施設…と聞いても、よくわからなかったのでしょう。なかには明らかに怖がっている、どういう人がいるのかわからないぞの警戒の視線を感じたこともあったそうです。今でこそ「認知症」も「グループホーム」もだいぶ人口に膾炙しましたが…。

最初から近所と仲良く、上手くやっていたわけではなかったんだそうです。

まずは誤解を解いてもらうために、入居者さんと一緒に地域に出て、近所に顔を覚えてもらったり。先輩職員さんも地域の自治会・町内会に参加して回覧板を回したりお祭りの準備を手伝ったり…そうした長い積み重ねの上で「地域とつながって」いったそうです。
回覧板を回すのも、お祭りの手伝いをするのも、面倒といえば面倒。なければその分仕事は楽…なようですが。そういった地域との関りがそもそも「介護職員の仕事」のひとつだったのですね。
(筆者はすでにそういう関係ができてから入社しましたので、単に「近所の人が優しい」のだと最初は思っておりました(-_-;)…)

「地域と繋がって」と一言で言えばあたり前なような、簡単なような気もしますが。実際には一朝一夕にはいかないことですよね。

その影響か、筆者もこのたび引っ越しを機に、地元の自治会(町内会)に参加してみました。

年会費は1500円。年に数回、1週間ごみ収集所掃除(水で流す)が回ってきます。あと回覧板。それに近所の公園の草むしり…などです。
さる4月には草むしりに参加してきましたが、だいぶ気温も高くなってきた初夏の折。1時間の草むしりはなかなかの労働で汗が吹きでました(^^;)。運動不足ですねえw…。

筆者の住む地域はいわゆる「飛び地」(行政区分が川の向こうの市)であるためか自治会が活発なようです。おかげさまで引っ越してきて3か月。近所を歩いていても自然に挨拶をもらえるくらいにはなりました。

しかしよく考えると、こういう機会でもなければどうやって隣近所と知り合いになればいいのでしょう?まさか一軒一軒呼び鈴鳴らして「梅熊です、よろしく…」というわけにも行きませんし。

介護職員を経験していなかったら、町内会に参加しようなどとはまず思わなかったでしょうが…。意外と楽しい(笑)ものです。「仕事」で慣れていてよかったと思います。