人間は、めっちゃ面白い。

僕は、元国鉄出身。1982年に障がい者たちをのせた「ひまわり号」という列車が運行したんですが、そのボランティアのリーダーとして、旗をふる機会があったんです。そこで初めて車いすに乗った方や動けない方と関わって、電車に乗ることはこんなに大変なんだって感じたんですね。それと共に、今までは医療関係の方々が障がい者のサポートをしていたけれど、これは「安全に列車に乗ってもらえるよう僕らが動かなアカン!」って思ったんです。それが、福祉に興味を持ったきっかけです。国鉄を辞めるときに、次はどんな仕事に就こうか考えてたんですけど、「福祉とか介護も悪くないな」くらいの感覚で、決めました。
初めての会社は、岐阜県にある特別養護老人ホームでした。そこは、テストとかじゃなくて、実務での入社試験が1週間ありました。1週間経った後に聞かれたんです、「和田さん、このお仕事向いていると思いますか?」って。僕は生意気だったんで、「向いてるか向いてないかはみなさんが判断することですが、やりたいかやりたくないかで言ったら、僕は何としてもこの仕事をやりたい」そう言ったんです。もう、それくらいおもろい仕事だって素直に思ったんです。
その頃の気持ちは、今もまったく変わりません。正直、辛いとかしんどいとか思ったこともありません。その理由はただ一つ。「人間てめっちゃおもろいなー」って思えるから。認知症や障がいのある方たちと出会って、人間の凄さみたいなものに常々出会っていくのが、本当におもろいんですよね。
僕が、特養で夜勤をしていた時なんですけど、朝5時には起きて30人の入居者の排泄介助や衣類交換を、交替の人が来る7時までにやらなきゃいけなかったんですね。でも、その時僕が寝坊しちゃって6時に目が覚めたんです。「えらいこっちゃー、7時に来る職員にバレたらヤバイな!」と思って、30人いた認知症の入居者に、「●●さんお願い!自分で頑張って!」って必死に助けを求めたんです。そうしたら、普段は2時間くらいかかる仕事が、1時間で終わったんですよ。みんな、僕の身体全体から出ていた必死感みたいなものを感じ取ってくれていたんですよね。認知症でも、ちゃんと通じ合えるんだなって。人間の凄さを強く感じさせられましたね。
今でも毎日、こんな発見ばっかりだから、もうおもろくておもろくて。だからこの仕事、辞められませんね。
和田行男
和田行男
高知県出身。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ転身し、特別養護老人ホームなどを経験。99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。著書『大逆転の痴呆ケア』『認知症開花支援』(中央法規)。TV出演『プロフェッショナル仕事の流儀』(NHK)。