ご利用者の
「生きる」を支えるには、
職員が仲間を作ること。

取締役
通所・入居事業部 地域包括事業部 部長

和田 行男YUKIO WADA

DIRECTOR MESSAGE

うちの職員は
魔法使いの様に生きる姿を変える

 あんな母親の姿、20数年ぶりに見ました。
 高齢になり、認知症になり、生きる姿がどんどん変わっていった母親を見るにつけ「しょうがない」と言い聞かせてきた息子から相談を受け、うちの介護施設に移り住んでいただいた数ヵ月後、母親の姿を見た息子から出た言葉です。
 何てことない姿なんですよ。
 割烹着を着て台所に立ち、食器を洗っている姿なんです。

 あるデイサービス事業所から「面倒見切れません」と言われた認知症の状態にあるとめさん(仮名)がうちのデイサービスへ移ってきました。
 またダメって言われるかもしれないと恐る恐る様子を見に来たケアマネさんが、とめさんの姿にびっくり。すぐに同居している娘さんに報告したんです。
「お母さまが自分でコップを持ってお茶を飲んでましたよ」
「そんなはずはない。うちの母は認知症で何もできないですから」

 そう言い返したものの試したくなった娘さんは、ある日お母さんと話をしながら、いつもなら飲ませてあげるお茶のコップを目の前において立ち去り、こそっと様子を見ていたんですって。
 そしたら、しばらくすると母親が自分でコップを持って飲んだんですよ。娘さんはものすごい驚いた様です。
「専門職ってすごいですね」
 利用者アンケートに書いてくださった言葉ですが、僕らにとって誇りです。

 うちの職員さんたちは魔法使いではありませんが、他でダメって言われたって動じることはありません。むしろそういう状態の方に挑みたいと思っているんじゃないかな。
 また、できることをどんどん取り戻していけるように支援していきますから、ご家族には驚かれることが多いですね。

プロじゃなくプロフェッショナルを
目指して欲しいし目指していかねば

 よく言われるのは「そこまでご利用者のことを考えて支援しだしたら大変でしょう」という言葉ですが、仕事を大変だと表現する人は、そもそも介護の仕事はやめておいた方が良いでしょうし、おそらくどの仕事に就いても「悦」や「快」は得られないでしょうね。

 仕事はどんな仕事でもそうでしょうが、特に僕らの仕事は「相手が人」であり、しかも自分以外の人のことを一生懸命考えてサポートする仕事ですから、何が正解か、その答えがわからないことだらけなんですね。

 六年前、NHKプロフェッショナル〜仕事の流儀〜という番組に出させてもらったんですが、その中で「和田さんにとってプロフェッショナルとは」という番組にとってはとても大事な問いかけがあるんですね。
「二日後に聞きますから」とディレクターに言われて、予習が嫌いな僕が二日間考えて出した答えが「飯のタネ」だったんですね。

「和田さん、本当にそれでいいんですか」
って問われてこれまた嫌いな復習を二日間したんですが、その時にわかったんです。プロという言葉はプロフェッショナルの略語でしょうが、プロとプロフェッショナルは意味が違うんだと。
 介護という仕事で飯食っている人は何百万人もいるけど、その中には四六時中認知症の状態にある人たちを建物に閉じ込めるなど行動制限する、できることがあるのにそれを奪ってしまう現状に疑問さえもたない人もいる。
 少なくともそういう人と僕は同じじゃない。そのプライドはある。だとしたら僕は、これで単に飯食ってるプロじゃない。だったらプロフェッショナルとはなに?!
 答えが出ないまま二度目の撮影が始まり、「和田さんにとってプロフェッショナルとは」の問いかけがきたとき、思わず「自問自答」って言葉が飛び出てきた。

 何が正解かわからない仕事だからこそ、「これでよかったのかな」「他に方法はなかったのかな」と自問し続ける、そんな職員さんたちをたくさん生みだしていくことが、国民の負託に応えることじゃないかと考えています。

生きることを支援する専門職としての
追求を応援する会社でありたい

 どんな人でも「できない・わからない」ところからスタートしますが、どんな環境に身を置くかで、その環境の中で自分がどうするかで、その後が決まってくるんじゃないでしょうか。
 うちの会社は「人に社会に、自分に誇れる専門性の追求」を掲げ、専門職を応援する姿勢を打ち出しています。
 もちろん制度的な条件や要件がありますが、それはほかの事業者でも同じことで、その中で介護保険法が掲げる「尊厳の保持」「有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように」を一生懸命取り組んでいくことこそ僕らが目指すべき方向性で、介護の専門職は、うちの会社のために仕事をしてはならないのです。

 インターンシップに参加した介護系の学校に通う学生から「ご利用者本人ができるように一生懸命考えて実行しているところに驚きました。地元の実習とは違いました。」と言っていただきました。
 また、「本当に献立から買い物、調理に至るまでご利用者自身ができるように支援しているんですね」と驚かれることもあります。
 うちの職員さんたちが目指すべき方向に基づいて取り組んでいる証でしょう。

 この国が目指すべき方向に基づいてきたからこそ、地域包括支援センターの運営に携わらせていただきますし、認知症の状態にある方の雇用にも取り組むし、「注文をまちがえる料理店」のような社会的な取り組みにも積極的に関わっていきます。

 ぜひ、仲間に加わっていただき、世の中を一緒に動かしていければと願っています。