「介護」ではなく「支援」をしよう!

そんな僕ですが、今感じている介護業界の一番の問題点。それは、介護は “人と関わる仕事”であるはずなのに、関わる時間が極めて少ないということなんです。仕事と言ったら、お風呂・排泄・食事。ご利用者と関わる場面が決まりきっているから、職員はマニュアル通りに“作業”をこなしているだけ。介護の仕事自体が完全に仕組み化されてしまっているんですよね。でも、今の職員たちは、それで「人に関わっている」と錯覚してしまっている。
それって、もう介護じゃないんですよね。こなすのなら誰でもできる仕事ですから。このまま仕組み化が進んでいけば、介護はどんどんつまらないものになっていきます。それだけじゃなく、ご利用者の人としての尊厳も奪いかねない大きな問題なんですよ。
僕たちが行うべきは、介護ではなく「支援」です。では、「支援」ってなんだと思いますか?どんなに先進的で素晴らしい施設でも、ご利用者が一般の方とかけ離れた暮らしをしてたら、まったく意味がありません。できる限り、今までの姿のまま生活できるよう応援してあげることが「支援」なんです。
身体に障がいや認知症を持ってしまった時点で、今までと同じ生活を送ることなんてありえない。そりゃそうですよね。でもそこで、“認知症の人に包丁を持たせたら危ないから、座らせておこう”そう判断したら、それは介護を知らない一般の方と同じレベルの提案しかできていないということ。ありえないことを前提に、一緒に調理をしたり、買い物をしたり、洗濯物をたたんだり、チャレンジできる範囲での日常生活を送ってみる。僕たちは、どこまでご利用者が普通の暮らしを取り戻せるかに、ただただ挑み続けているんです。
今、介護業界には「介護」と「支援」という2つの言葉が同時に使われているけど、僕は自分のことを介護者だと思ってなくて、支援者だと思ってます。僕は、大起エンゼルヘルプの中に、支援者をいっぱい作りたいんです。正直、今の介護のイメージは、家政婦の延長。お金をもらって、やってもらいたいことを介護者が全部やる、そんな仕事。僕たちは介護じゃなくて「支援」がしたいんですよ。大起エンゼルヘルプを、生活支援の専門集団にすること。これが、今の僕のキーワードになっています。
和田行男
和田行男
高知県出身。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ転身し、特別養護老人ホームなどを経験。99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。著書『大逆転の痴呆ケア』『認知症開花支援』(中央法規)。TV出演『プロフェッショナル仕事の流儀』(NHK)。