その139  店舗支払い無人化に思うこと。

コロナ禍の影響も手伝い、店舗レジの自動・無人化が目立ちますね。

先日所用あって、近所の電気屋さんに赴きました。
隣には最近少なくなった「レンタルビデオ店」が併設されています。

弊社本社のある東京荒川区では、書店、古本屋、レコード店(…という言い方も古いですね、CD屋さん)などがここ10年で大変少なくなりました。それだけネットのサービスが発達したということでしょう。確かに場所を使い、人も雇うとなるとそれだけ費用が掛かります。ネットの通信販売、いやダウンロードやサブスクリプト(定額使い放題)ならばその分安く済みます。

実際スマホを買うとそれらのサービスがすでに入っている昨今です。筆者もご多分に漏れず、映画や音楽はサブスクリプト。本は電子書籍より紙の本派なのですが、それでも書店がないために通販に頼っています。

…ではいまレンタルビデオ屋さんはどうして儲かっているのだろうか?素朴な疑問がわいてまいりました。

見ていると、レジに並ぶお客さんは圧倒的に「中高年」が多いようです。男性のほうがやや多め、という気がしました。

筆者は知らなかったのですが、いま大型レンタルビデオ店には「セルフレジ」があるのですね。会員カードと借りたいビデオ(DVDですがw)のバーコードをお客さんが自分でスキャナにかざして、料金を納めていっちょあがり、という。新型コロナの影響でレジも無人化がすすんでおりますが、たくましき中高年のお歴々は難なく使いこなしておられるようです。

なるほど。こういうご時世でも、やはりレンタル派は一定数いる、ということですね。

理由はいろいろあるでしょう。スマホやパソコンより大きなテレビで映画を見たいとか。ネットサービスにない通なビデオを探しているとか。オフラインで利用したいとか。ネットでいちいち会員登録したりお金のやり取りをしたり、面倒なうえに不安であるとか(この気持ちは当方、いまだに持っております(-_-;))…。

また膨大なネット映画のラインナップの中から見たい映画を選ぶ作業というのもコレなかなか大変ではあります。見たいものが決まっていれば検索で一発なのですが、時には「別に何が見たいというわけでもないけど、ちょっと映画でも見てスカっとしたい」という気分のとき。目とマウスだけで探すより、店内を歩いて、背伸びしたりかがんだりしながらちょっとした散歩を楽しむというほうがいいものが見つかったりしますねw。足が動くほうがカンが働くのでしょうか?

探し物は足でする、というタイプはもう若い方には少ないでしょうから(;^_^A、レンタルビデオ店が中高年中心になっているのもわかる気がします。特に荒川は都内でも高齢者の多い区です。

するとこういうお店のあること、昔ながらのDVD派に対応してくれていることは単に「ビデオが借りられる」という以上の意味があると筆者は感じます。

「でかける理由」ができますね。

夏なんか室内の涼しいところを軽い散歩ができます。友人に会ったりするかもしれません。大きなテレビで見るなら、家族や友達を誘うかもしれません。とにかく「一人でスマホ」より多くの活動のきっかけになりますね。それに図書館と同じで、借りたものはまた返しに来なければならない。これでまた1週間後に外出するきっかけになるわけです。高齢者にとっては貴重な運動になることでしょう。

たびたび言うようですが新型コロナの影響で成長したのは「出前」と「配信」サービス。食事や娯楽を「運んでもらう」これが急速に一般に普及したわけですね。…どうでしょう、これも一長一短といいますか。これ以上現代人から運動の理由を奪ってどうするのか、という気もいたします。

筆者が務めた介護施設(グループホーム)では、受診や食事の買い物以外、お出かけの理由を作るのに苦労したものですが。自分の意志でレンタルビデオ店に来ている中高年の後姿は、やはり心持ち背筋が伸び、健康そうに見えましたw。

苦戦のレンタル業界も、ひとつ踏ん張っていただければと切に願います<(_ _)>。

追記

ただ自動化無人化とはいっても、振り込め詐欺などの被害も多い昨今です。いきなり「まったく人間が介在しない」という状況になるのも不安な気がいたします。

お店のレジに店員さんはいるけど、セルフで支払いができる…まずはこれくらいが安心かもしれませんね。